昭和大学・歯学部・歯周病学講座・山本松男教授にインタビュー。歯周病の原因菌はいつごろからお口の中に住んでいるのか聞きました。
また、歯周病の菌は子供にうつってしまうことがあるのか、その予防方法はあるのかについても説明してもらいます。
前回の記事「子供も歯周病になる?気をつけたい初期症状や“特別な病気”とは」
この記事の目次
山本松男教授に聞く!歯周病の感染経路
Q1.歯周病の原因菌はいつごろから口内にあるのですか?
歯周病の原因となる悪玉菌の一つがポルフィロモナス・ジンジバリス。PG菌と呼んでいますが、このPG菌を持っているか・持っていないかということが、歯周病の重症度に影響していると考えられています。
ただ分からないこともたくさんあって…。12歳くらいの年齢で調べてみると、ほとんどの子供からPG菌が出てこないんですね。
だけれども、18歳くらいから後で調べてみると、いつの間にかPG菌がいるんです。これが、どこから来るのか分からない。ただ、絶対に経路というのはあるはずなんですよ。
Q2.PG菌がどこから来るのか分からないのは、なぜでしょう?
PG菌を持っているからといって、必ずしも歯周病になるということでもないんです。健康な状態でもPG菌を持っている場合があるんですね。
そういう点で、経路がなかなか特定しにくいということがあります。空気感染ではないと分かっているので、一緒に食事をシェアしたときなどに移動して来て定着するのではないかと考えられています。
いくつかの研究があって、PG菌の遺伝子型を調べてみると、家族で同じ遺伝子型のPG菌を持っているケースが多いといいます。ですからやはり、直接的に口から口ということはないにしても、何かを介して入ってきているのではないでしょうか。
Q3.PG菌の感染を予防する方法を教えてください
子供への感染を気にしてお父さん、お母さん、どちらかが歯周病の治療をするのであれば、「家族みんなで歯磨きに力を入れて、みんなの口からPG菌を追い出す」そういったことが大切だと思います。
まとめ
歯周病の原因菌の一つ・PG菌は、いつの間にか口内にいるようです。詳しい移動の経路が分かっていないということが印象的でした。
そのため、家族みんなで行うお口の健康管理が大切になってきますね。
※次の記事「歯周病治療にかかる期間は?治療の流れ、重症化したときの対応を解説」
平成4年 東京医科歯科大学歯学部卒業
平成8年 東京医科歯科大学大学院修了・博士(歯学・歯周病学)
平成9年 米国アーカンソー州立医科大学内分泌部門・骨粗鬆症センター(ポスドク)
平成12年 鹿児島大学歯学部助手(歯周病学)
平成14年 鹿児島大学生命科学資源開発研究センター助教授
平成17年 昭和大学歯学部教授(歯周病学)
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歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。