【教授に聞く】子供も歯周病になる?気をつけたい初期症状や“珍しい病気”とは

【教授に聞く】子供も歯周病になる?気をつけたい初期症状や“珍しい病気”とは

昭和大学・歯学部・歯周病学講座・山本松男教授に、子供は歯周病になることがあるのか伺いました。

インタビューから、まれに起こりうる症状、大人になるまでに注意すべきポイントなどが見えてきました。

前回の記事「妊婦さんにも影響!?歯周病と体の病気の関係性に迫る

この記事の目次

山本松男教授に聞く!子供が歯周病になってしまう危険性

Q1.赤ちゃんや子供が歯周病になることはありますか?

山本松男教授

子供のころには歯が“ぐらぐら”するといった歯周病(正しくは歯周炎)という症状は、ほとんどないです。ただし、歯肉炎である子供は決して少なくありません。歯肉炎とは歯周炎の予備軍です。

また子供でも歯石が付くということはあるんですけれども、歯の顎の骨がどんどん溶けるような歯周炎になってしまうということは、“珍しい体質”の方以外には見られません。

ただ、私たち歯科医師が気にしていることがあります。小学校から中学校くらいまでは基本的に歯科検診がありますよね。高等学校でもあるところが多い。大学になると少ないですね。社会人になって歯科検診を設けている会社は、日本ではまだまだ少ないです。

市や区の健康検診で歯科というオプションを組み込んでいるところがあっても、35歳から先がほとんどです。

ですが、18歳くらいから30歳くらいまでに、歯肉炎になっている方がすごく多いんです。または、歯周炎が始まってしまっている方もいます。この期間は、歯周病に関心がなかったり、定期健診などの決まりもなかったりするので、発見することができない、いわゆるウインドウ期間と呼んでいます。

子供でも歯周病になるのかという質問とはずれてしまいますが、小学生、中学生、高校生あたりの方でも、歯肉炎には注意をしたほうがいいと思っています。

Q2.子供が歯周病になってしまった場合どうなるのでしょうか?

すごく少ない症例ですが、かかってしまうと、大人の歯周病よりもっと速いスピードで歯や、歯茎が“ぼろぼろ”になってしまうんです。口臭もすごく出る場合があるんですね。

ただ非常にまれな病気で、原因になっている遺伝子も特定されています。実際には10万人の中で1桁くらい。ですから遭遇するということはなかなかなく、一般の歯科医師でも退職するまでに、数人の方にお会いするかどうかといわれているくらいの頻度です。

パピヨン・ルフェーブル症候群という病名が付いていて、口だけではなく、手や足の裏がかさかさになってしまう免疫異常です。

発症年齢は5歳ころで、子供の歯のときから歯周病になってしまう、とても珍しい病気ですね。

Q3.何歳くらいの子供が歯周病になりますか?

歯周炎の予備軍として歯肉炎に注意が必要です。

就学時期の歯肉の状態として、平成30年度、東京都の学校保健統計書によれば、歯周疾患および歯周疾患要観察者の割合は、小学校高学年で約10%、中学校で約20%、高校生で約25%と、学年が進むにしたがって高くなっていることが分かります。

たたし、歯周炎は丁寧なブラッシングで改善し、予防もできますよ。

まとめ

子供のころに顎の骨が溶ける歯周炎をわずらうことは、ほとんどないということでしたが、その予備軍である歯肉炎になるケースは決して少なくないということが分かりました。

これは、定期的な歯科検診を行っていない、大学生や社会人になったころから徐々に歯周病が始まっている可能性があるということです。

歯医者さんだけでなく、親御さんからも、子供が歯周病について理解を深められるよう伝えることが大切ですね。

昭和大学 歯学部 歯周病学講座
山本松男教授監修
経歴・プロフィール

平成4年  東京医科歯科大学歯学部卒業
平成8年  東京医科歯科大学大学院修了・博士(歯学・歯周病学)
平成9年  米国アーカンソー州立医科大学内分泌部門・骨粗鬆症センター(ポスドク)
平成12年 鹿児島大学歯学部助手(歯周病学)
平成14年 鹿児島大学生命科学資源開発研究センター助教授
平成17年 昭和大学歯学部教授(歯周病学)

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執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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