顎関節症を防ぐ3つのマウスピースとは?スプリント療法を解説

顎関節症を防ぐ3つのマウスピースとは?スプリント療法を解説

歯ぎしりや食いしばりに由来する「顎関節症」を治す目的として、マウスピースを用いたやり方があります。これを「スプリント療法」と呼び、症状に合わせた使い分けが行われています。

この記事では、顎関節症の治療の一貫であるマウスピースに注目していきます。自分に合った治療法なのかどうか、ぜひ確認してみてください。

この記事の目次

1.顎関節症の治療にマウスピースを用いる理由

歯ぎしりや食いしばりのことを「ブラキシズム」と呼び、これは口腔内での悪い習慣です。夜間の就寝中に知らないうちに歯ぎしりをしてしまうと、歯がすり減って、歯だけでなく歯茎もダメージを受けます。

さらに、顎関節にも痛みが生じて「顎関節症」を引き起こすことになります。例えば、以下のような3つの症状が顎関節症であるといわれています。

・口を開けると音が鳴る
・顎を動かすと痛い
・口が開けづらい

こうした症状を自覚している方は、顎関節症の可能性があります。気になる方は、歯科口腔外科や大学病院を受診するのがおすすめです。睡眠中の歯ぎしりが原因となっている場合、歯科口腔外科では「スプリント療法」という対策が用意されています。

自分に合った「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースを作製してもらい、歯のすり減りを防いで、さらには歯ぎしりによる噛み合わせの悪化も防ぎます。

2.「スプリント療法」で使われる3つのマウスピース

この章では、顎関節症の治療に使われるマウスピースの種類を3つ紹介していきます。「どんなタイプのものなのか」「機能性についてどうなのか」をそれぞれお伝えしていきます。

2-1スタビライゼーション型スプリント

「全歯列接触型」のマウスピースを、『スタビライゼーション型スプリント』といいます。これは、上顎・下顎、または上下の歯列すべてを覆う形のマウスピースのことで、顎関節を守り、歯のすり減りや筋肉の緊張も防ぐ目的で使用される、ベーシックなマウスピースとされています。

2-2 アンテリア リポジショニング型スプリント

「前方整位型」の『アンテリア リポジショニング型スプリント』は、前歯の部分が山のように盛り上がっているのが特徴です。これは、下顎を前方に維持させておくためです。口を開ける際に音が鳴る方や、口が開けづらいという症状の方を対象に作られており、前方にズレた関節円板を正常に戻すためのマウスピースとなります。

2-3 ディスク リキャプチャリング型スプリント

上記に挙げた方法とはまた別のタイプの『ディスク リキャプチャリング型スプリント」は、口を開けることが困難だった状態から、顎を正常な位置に矯正した場合、下顎の位置がまた元に戻らないようにするためのマウスピースとなります。

3.マウスピースの使用は「保存療法」~その他の対処方法も紹介

顎関節症の方に用いられるマウスピースは、顎関節症を根本的に治療するというより、これ以上悪くならないように原因に合わせて対処するのが目的といえます。

実は顎関節症を発症する原因は、はっきりとは特定されていません。この記事で述べた、歯ぎしりや食いしばりの他、現代社会におけるストレスも要因として挙げられていますが、噛み合わせの問題が関係していたり、頬杖をつく癖やうつ伏せで寝る癖があったりする方も、顎関節症になりやすいとされています。

マウスピースを用いた方法は、手術による治療を施さずに改善を図る「保存療法」です。歯を削ったり、手術によって関節円板を切除したりする大がかりなことは実施しないため、患者さんに大きな負担を与えることがないのがメリットです。顎関節症の主な対処方法が、マウスピースを使った「スプリント療法」なのです。

その他にも「薬物療法」や「マッサージ療法」があります。薬物療法とは、噛み合わせで使う筋肉の緊張を和らげる「ボツリヌストキシン」を注射する方法です。マッサージ療法は、顎の周辺の筋肉をマッサージによって和らげる方法です。

4.まとめ

顎関節症を招く原因は特定しづらく、仮にマウスピースを使ったとしても、すぐに改善できるとはいえません。つまり、使用期間を設けるのは難しいのが実状です。それだけに、医院の先生としっかり相談して少しでも早く改善に向かうように努めることが大切です。

医院で行う顎関節症の改善策のほとんどが「保存療法」によるものです。また、自身の日常生活を見直すことで、原因もしぼられてくるはずです。原因を見つけられれば悪化を防ぐことにもつながりますので、ぜひ実践してみてください。

 

先生からのコメント

顎関節症や歯ぎしりの治療でマウスピースは有効な治療法ですが、近年歯科領域でも「ボツリヌストキシン」の応用で歯ぎしり治療が比較的簡単に行うことができるようになりました。担当医の先生に一度ご相談ください。

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

歯の教科書では、読者の方々のお口・歯に関する“お悩みサポートコラム”を掲載しています。症状や原因、治療内容などに関する医学的コンテンツは、歯科医師ら医療専門家に確認をとっています。

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