人と会話をするとき、食事をしたあと、朝目覚めたときなどの口臭対策で困っている人も多いのではないでしょうか?口臭は誰もが持っているものです。飲食をするたびに口の中で代謝が起こるため、無臭でいることはほぼ不可能とされています。しかし、原因が分かることで対策できれば、口臭の解消を目指すことは可能です。この記事ではすぐにできる口臭対策のほか、日常生活の中で起こる口臭、口の中や身体の病気が原因で起こる口臭について、それぞれ対策を交えて紹介しています。口臭が気になる人は参考にし、口臭対策に役立ててください。
この記事の目次
1.原因別・口臭対策早見表といますぐできる口臭対策
1-1 原因別・口臭対策早見表
この記事で紹介している口臭の原因別に、効果的な対策を表にしています。
口臭の原因や対策について、詳しくは分類欄に記載している各章で紹介しています。
大切なのは、自己判断で原因を決めつけるのではなく、歯医者さんを受診し、口臭の原因が何であるかを突き止めることです。
歯医者さんの指導の元、原因に合った効果的な対策をおこなっていくことが口臭解消の近道です。
分類 | 口臭の原因 | 対策 |
日常生活で生じる口臭 (詳しくは2章で紹介) | 臭いの強い食べ物や飲酒 | 歯を磨く ガムを噛む うがいをする |
ストレスや緊張による口の渇き | 水分補給 ガムを噛む | |
空腹時や朝起きたとき | 歯を磨く うがいをする 空腹であれば食事をする | |
ダイエット | 水分補給 ガムを噛む 糖質制限以外のダイエット(または中止) | |
口の中に原因がある口臭 (詳しくは3章で紹介) | 歯周病 | 歯医者さんを受診する 口の中をケアして清潔に保つ |
虫歯 | ||
ドライマウス | 水分補給、ガムを噛む 歯医者さんを受診する | |
舌苔 | 舌ブラシや柔らかい歯ブラシ ガーゼなどで除去する 口の中をケアして清潔に保つ | |
身体の病気が原因の口臭 (詳しくは4章で紹介) | 呼吸器系、耳鼻いんこう系、 糖尿病、腎疾患など | 病気に対応している診療科を受診する 口の中をケアして清潔に保つ |
消化器官の機能低下 | 消化器系の医療機関を受診する 口の中をケアして清潔に保つ | |
便秘 | 便秘の解消を目指す 口の中をケアして清潔に保つ |
日常生活の中で生じる口臭や、口の中の病気が原因で生じる口臭の一部には、すぐに対策ができるものがあります。
一時的な対策とはなりますが、今すぐなんとかしたい口臭に効果的な方法を詳しく紹介します。
1-2 水分補給
糖質が含まれていない水やお茶で水分補給することで、一時的に解消が期待できます。
飲食をしたあと、口の中に汚れが残っていると口臭の原因になります。
また、口の中が渇いて唾液の分泌量が減ると、細菌の増殖を抑える唾液の働きが損なわれ、口臭の原因になることがあります。
水分補給で対策しましょう。
1-3 ガムを噛む
ガムを噛んで唾液の分泌を促すのは、口の中が渇いている人の対策として有用です。
唾液の分泌量が安定しており、口の中が渇いていない人の場合、ガムを噛むと口臭の原因物質が増えてしまうことがあるようです(※)。
口の中が渇いていない人は、水やお茶といった水分補給で対策しましょう。
※【参考】 日本歯科医師会 歯とお口のことなら何でも分かるテーマパーク8020 口臭
1-4 歯磨き、うがいをする
歯磨きやうがいをして口の中の汚れを落とすことは、すぐにできる口臭対策です。
職場や外出先で歯磨きができない人は、うがいをするだけでも効果が期待できます。
1-5 ケア用品を併用する
マウスウォッシュやデンタルリンスを使ってうがいをする、デンタルフロスや歯間ブラシといったケア用品を併用する、といったことも口臭対策になります。
時間に余裕のある人は、歯磨きやうがいと併せておこなうのもおすすめです。
2.普段の生活から生まれる口臭と対策
2-1 食べ物による口臭
ニンニク、ネギ、香辛料、コーヒー、アルコールといった臭いの強い食べ物や飲み物を摂取したあとは、口臭が出ます。
いずれも一時的なもので、治療の必要のない口臭です。
時間の経過とともに口臭は治まりますが、人と会う予定があるといった人は臭いが気になるかもしれません。
【対策】
歯磨きをする、ガムを噛む、マウスウォッシュやデンタルリンスでうがいをする、といったことで一時的な解消が期待できます。
歯磨きができないときは、うがいをしたり水分を含んで口の中を潤したりすることで、ある程度抑えられることもあります。
2-2 緊張やストレスが原因の口臭
緊張やストレスといった原因で口の中が渇くと、口臭が強くなることがあります。
こうした口臭は「生理的口臭」と呼ばれており、特に治療の必要がない口臭です。
【対策】
水やお茶を飲むといった水分補給で口の中を潤すか、ガムを噛んで唾液の分泌を促しましょう。
2-3 空腹時や朝目覚めたときの口臭
空腹時や朝目覚めたときの口臭も「生理的口臭」であり、特に治療の必要はありません。
原因は、空腹時や寝ている間は唾液の分泌量が減るため、口の中の汚れを十分に洗い流せなくなることと、細菌が増殖してしまうことです。
【対策】
空腹時であれば食事をする、起きたあとであれば歯磨きをする、といったことが対策になります。
食事がすぐにできないときや、起きてすぐ歯磨きができないときは、水やお茶を飲む、うがいをするといったことで対策しましょう。
2-4 ダイエットによる口臭
食事制限によるダイエットの場合、空腹でいる時間が長くなることで唾液の分泌量が減り、口臭が強くなることがあります。
また、糖質が不足すると、身体は代謝を維持するために脂肪を燃焼させます。
脂肪が燃焼されるときに作られる「ケトン体」は、甘酸っぱい臭い(ケトン臭)をしています。
ケトン体が血液に乗って全身を巡り、吐く息に混ざることで口臭が発生します。
【対策】
治療の必要はありませんが、根本的な対策としては、ダイエットを中止するか、食事制限以外のダイエットを試すといったことが挙げられます。
しかし、食事制限といったダイエットを続けている間は、ケトン臭は改善されにくくなります。
水分を含んで口の中を潤したり、ガムを噛んで唾液の分泌を促したりしても、容易には解消できないようです。
3.口の中の病気が引き起こす口臭と対策
3-1 歯周病による口臭
歯周病の原因となる細菌は、口臭の元になるガスの中でも特に臭いが強い、「メチルメルカプタン」を大量に発生させます。
そのため、歯周病の人は口臭が強くなります。
【対策】
歯周病の原因は、歯垢(しこう)が石灰化してできた歯石です。
毎日の歯磨きを丁寧におこない、歯石の元となる歯垢を溜めないようにすることが、対策の基本です。
歯磨きに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシ、デンタルリンスなどのケア用品を併用するのもおすすめです。
しかし、一度付いてしまった歯石は自分で除去することは難しくなります。
その場合は、歯医者さんを受診しましょう。
3-2 虫歯による口臭
虫歯が進行して穴が大きくなると、食べカスが穴に溜まります。
食べカスが腐ったり、細菌が食べカスを分解する際にガスが発生したりして、口臭となります。
神経が死んでしまうほど進行した虫歯も、神経が腐ってしまうことで、さらに強い臭いを発するようになります。
【対策】
虫歯の主な原因は食べカスです。
毎日の歯磨きを丁寧におこない、歯垢を溜めないようにすることが、虫歯や虫歯による口臭を防ぐことにつながります。
穴が開いてしまうほどの虫歯は、自然治癒することがありません。
すでに虫歯がある人は、悪化する前にできるだけ早く歯医者さんを受診しましょう。
3-3 ドライマウスによる口臭
ドライマウスは、唾液の分泌量が減ることで口の中が渇いてしまう病気です。
唾液の分泌量が減ると、口の中の汚れをきれいに洗い流せずに残ってしまったり、細菌が増殖したりして口臭が発生します。
【対策】
応急処置としては、水やお茶といった水分補給で口の中を潤す、ガムを噛んで唾液の分泌を促す、といったことが挙げられます。
ただし、ドライマウスの原因はストレス、筋力の低下、薬の副作用、糖尿病などさまざまです。
このように原因にアプローチすることが、根本的な口臭対策となります。
唾液の分泌量が少ない、口の中が渇きやすいといった人は歯医者さんを受診して、ドライマウスの原因や対処方法について相談しましょう。
3-4 舌苔(ぜったい)による口臭
舌苔とは、舌の上に溜まる白い苔(こけ)のようなものです。
口の中の粘膜の細胞が死んで剥(は)がれ落ちたものや、食べカス、血液成分などが集まったものです。
それらを細菌が分解することで、口臭の元になるガスが発生します。
口臭の6割は、舌苔が原因とも言われています(※)。
※【参考】日本歯科医師会 歯とお口のことなら何でも分かるテーマパーク8020 口臭
【対策】
舌苔は、うがいだけでは取り除くことができないため、舌ブラシ、やわらかい歯ブラシ、ガーゼなどを使って除去します。
鏡を見ながら舌を前に出し、舌の奥から手前にかけて優しく磨いていきます。
磨くときに力を入れすぎたり、1日に何度も磨いたりすると、舌の表面を傷つけてしまう恐れがあるため注意しましょう。
なお、舌苔は健康な人の舌にも存在します。
軽く磨いても除去できない舌苔を、無理に取り除こうとするのは控えましょう。
4.身体の病気が引き起こす口臭と対策
口の中以外の身体の病気が原因で、口臭が出ることもあるようです。
ただし、身体の病気が口臭に影響を与えることは少ないようで、むしろ口臭の90%は歯周病や虫歯、歯垢など口の中に原因があると言われています(※)。
※【参考】日本口腔外科学会 口腔外科相談室 口腔内のトラブル
4-1 口臭を招くことがある病気の例
次のような身体の病気では、口臭が発生することがあります。
・呼吸器系の病気
肺や気管といった呼吸器系に病気がある人は、タンパク質の壊疽臭(えそしゅう=肉が腐ったような臭い)がすることがあります。
・耳鼻いんこう系の病気
蓄膿症(ちくのうしょう)や咽頭炎(いんとうえん)といった病気では、膿(うみ)が口の中に流れてきたり、タンパク質を含む血液が出たりして口臭が発生することがあります。
・糖尿病
糖尿病の人は、ダイエットをしているときのようにケトン臭がすることがあります。
ただし、血糖値がしっかりコントロールできている場合、口臭はほとんど認められないようです。
・腎疾患
腎臓に病気がある人は、尿毒症(にょうどくしょう※)からくるアンモニア臭がすることがあります。
※尿毒症とは、腎臓の機能が低下したときに起こりやすくなる中毒症です。本当であれば、尿に取り込まれるはずの窒素成分が十分に取り込まれず、血液中に蓄積してしまうことが原因です。だるさ、吐き気、頭痛といった症状のほか、意識障害や心不全を招くこともあります。
【対策】
原因となっている病気を治療することが、口臭対策となります。
それぞれの病気に対応している診療科を受診しましょう。
口の中を清潔に保つため、毎日の歯磨きといったケアは入念におこないましょう。
4-2 消化器官の機能の低下による口臭について
胃や腸、食道など消化器官に病気を抱えていると、口臭が出ると言われることがあります。
消化機能の低下によって食べ物が十分に消化されず、腐ってしまうことが主な原因とされています。
しかし、消化器官の病気が原因で口臭に影響を与えることは、比較的少ないとする意見も見られます(※)。
一方で、胃の中の食べ物や胃酸が、胃から食道に逆戻りしてしまう逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)といった病気で、口臭が出ることがあるようです。
※【参考】日本歯科医師会 歯とお口のことなら何でも分かるテーマパーク8020 口臭
※【参考】兵庫県歯科医師会 口臭
【対策】
胃や腸、食道などの消化器官に病気を抱えている人は、消化器系の医療機関を受診しましょう。
併せて、毎日の歯磨きといったケアを丁寧におこない、口の中に汚れを溜めないよう心がけましょう。
4-3 便秘によって口臭がひどくなるのはなぜ?
便秘によって口臭が出ることもあるようです。
排出されるはずの老廃物が腸内に留まることで、大腸菌といった悪玉菌が増殖します。
悪玉菌が老廃物を腐らせることで、腸内でガスが発生します。
便秘のため排出されないガスは、腸の壁に吸収されて血管内に溶け出します。
血液を介してガスが全身を巡り、肺に運ばれると、吐き出した息に混じって口臭となります。
【対策】
便秘が原因の場合、便秘の解消を目指すことが口臭対策になります。
食物線維や乳酸菌を摂取する、ストレスを溜め込まない、生活リズムを整えて朝昼晩しっかり食事を取る、適度な運動を取り入れるなど、食生活や生活習慣を見直しましょう。
また、毎日の歯磨きといったケアもしっかりおこない、口の中を清潔にしておきましょう。
5.まとめ
自分の口臭の原因を知ることが、対策の第一歩です。
生理的口臭は治療の必要はありませんが、歯医者さんに相談し、口臭の原因を突き止めるところから始めましょう。
対策を実践しても口臭が解消されない場合、別の原因が潜んでいることも考えられます。
歯医者さんで原因が特定できない場合、考えられる診療科を紹介してもらいましょう。
口臭に関してはまず歯科医師に相談して原因を突き止めてください。rn口腔内のことであればそのためのアドバイスや処置を受けてください。rnそれ以外の症状については他科の紹介を受けるべきでしょう。rn口臭にはあまり気にしすぎると、ストレスによる口臭と同じようにさらに重篤になることがあります。rn日常の歯磨き 洗口 給水が大切です。rn飲食による口臭に対するケアも大切です。
執筆者:
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