そのままは危険!黒い歯石の正体とその対処法とは【歯科医師監修】

そのままは危険!黒い歯石の正体とその対処法とは【歯科医師監修】

鏡を見ると歯石がぎっしり付いている!しかも黒い!・・・あなたのお口の中にはこんなトラブルはありませんか?

歯石の色は白いのが普通です。つまり、歯石が黒い場合は、口の中で何らかのトラブルが発生しており、身体が危険信号を出している証拠です!

黒い歯石から考えられる病気と対処法についてまとめてみたので、是非チェックしてみてください。

この記事の目次

1.黒い歯石と白い歯石について

1-1 黒い歯石と白い歯石の違い

黒い歯石は『歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)』と呼ばれ、血液が混ざっているせいで黒くなっているのです。
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この歯石は歯への付着力が強く、歯の根元の奥深くに付着していくので、多くの場合は歯茎からかき出すようにして取り出さなければ発見することができません。

下の動画は、歯茎に埋もれた黒い歯石をかき出して除去しているところを撮影したものです。
縁下歯石がどのようなものか分かりやすく紹介されています。

■歯肉縁下歯石

一方で、よくみられる白い歯石は、“プラーク”と呼ばれるネバネバの細菌の塊と、唾液の中に含まれるリン酸カルシウムが結合し、歯の表面でかたまって石のようになったものを指します。

歯茎から見える場所にできるので歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)と呼びます。白い歯石は子供から大人まですべての人の口の中で見られます。

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1-2 歯石が付きやすい場所

歯石が溜まりやすい場所は、唾液が出てくる下の前歯と、上の奥歯です。歯石の元となるリン酸カルシウムが唾液に含まれているので、唾液が出ている場所は歯石が溜まりやすいのです。

2.黒い歯石から考えられる病気と症状

2-1 黒い歯石は歯周病になっている証拠

黒い歯石は血液が混ざってできると前述しましたが、歯茎からの出血で考えられる病気は“歯周病”です。しかも黒い歯石が歯の表面で見えている場合は、歯周病がかなり悪化した状態だと言えます。歯周病は、歯周ポケットの中に溜まった歯周病菌が、歯の周りの骨をどんどん溶かしていく病気です。

歯石が溜まると歯周病が悪化してしまう理由をご説明します。歯石は細菌をたくさん含んでいるため、歯茎が腫れる原因になります。歯茎が腫れると歯周ポケットが深くなっていきます。

こうして広くなってしまった歯周ポケットに、歯周病菌の温床となる歯石がどんどん溜まり、骨を溶かしてゆきます。歯周病が悪化しすぎると、骨が歯を支えきれなくなってしまうので、抜歯をしなければならなくなります。

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また、骨が溶けるということは歯を支える土台が無くなってしまうということなので、歯が抜けたところへ、インプラントなどの人工の歯を挿そうとしても、そもそもの土台がないので、最悪の場合、修復が不可能となってしまうことが考えられます。

2-2 口臭がひどい

口臭は自分では気付きにくいものですが、歯石が付いている場合は口臭がきつくなっていることが考えられます。

口臭が発生する原理を説明すると、口の中の細菌が食べ物などを分解するときに発する硫化水素やメチルメルカプタンなど、臭いの元となる化学物質を作ります。

この化学物質は『歯周ポケット』と呼ばれる、歯と歯茎の隙間で作られます。歯石がたまると、どんどん歯周ポケットが広くなっていき、臭いの原因がどんどん増えていきます。

3.黒い歯石の除去方法

超音波スケーラーによる歯石除去

『超音波スケーラー』は歯肉縁上、歯肉縁下両方の歯石除去で使われる歯科用機器です。

毎秒25,000~40,000回の振動で歯石を分解しながら除去するので、歯にこびりついた黒い歯石にも有用です。しかし振動回数が多いため、歯周ポケット内や、より細かい作業が必要な箇所では手用スケーラーを併用して除去をおこないます。

黒い歯石は歯への付着力が強く、除去には時間がかかるので、何回かに分けて歯石除去を行います。

フラップ手術による外科治療

フラップ手術とは、歯茎を切開し歯の根元にこびりついた歯石を除去する外科的治療法です。歯周ポケットが深くなりすぎて、スケーラーでは届かないところにまで歯石が付着ししまっている場合に行う手術です。歯周病の症状がひどい場合に行います。

自分で除去する

歯茎の根元に付着している歯石は、根気強く頑張れば自分で取ることも可能です。

しかし、歯周ポケットの奥深くにできている歯石は自分では取れませんし、無理に取ろうとすると歯のエナメル質を傷つけてしまい、大変危険です。

特に、黒い歯石は歯にこびり付いているので歯医者さんで取ってもらうことを強くおすすめします。

※エナメル質は歯を守るための層です。これが傷付くと虫歯になりやすくなったり歯が汚れやすくなります。

4.歯石を溜めないためのケア

歯石をためないようにするには日々、口の中を清潔に保てるよう、心がけて生活することが大切です。ここでは今日から試せる方法をご紹介します。

4-1 歯ブラシは月に1回取り替える

今使用している歯ブラシをいつ使い始めたか、あなたは覚えていますか?

歯ブラシの汚れの除去効果は1ヶ月で50%まで低下するといわれています。歯ブラシの毛先が広がると、歯の表面にブラシがきちんと当たらず、磨きのこしが増えてしまうことが原因です。

更に、歯ブラシには目に見えない細菌や汚れがたくさん溜まっていきます。汚れた歯ブラシを使って歯磨きをしても逆効果になってしまうので、月に一度は歯ブラシを交換しましょう。

歯ブラシの使い方

歯ブラシの正しい使い方をご紹介している動画です。歯に対してブラシを45度に当て、1本1本歯茎をマッサージするように磨いていきましょう。

歯茎をやさしくマッサージするように磨けるようになると気持ちいいですよ。

注意点

1ヶ月も経たずに歯ブラシの毛先が広がってしまうという方は、磨くときの力を少し弱めてみてください。力を入れすぎている恐れがあります。

4-2 デンタルフロス・歯間ブラシを使う

歯石は歯ブラシだけではケアがしづらい歯と歯の間にたまりやすいものです。そのため、歯ブラシと併せてデンタルフロスや、歯間ブラシを使うことをおすすめします。

デンタルフロスの使い方についてはコチラのページで詳しくご紹介しています。

デンタルフロス(ホルダータイプ)

箱から出せばすぐ使えるので、デンタルフロス初心者向けです。

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デンタルフロス(糸巻きタイプ)

糸状のデンタルフロスを使う分だけ出して使うタイプのため、使う分だけ切るなどの下準備が必要です。

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歯間ブラシ

歯間ブラシの使い方についてはコチラのページで詳しくご紹介しています。

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4-3 歯医者で定期健診を受ける

歯にこびりついた歯石は歯ブラシでは取り除くことができません。そのため、定期的に健診を受け、歯石除去をおこなう必要があります。

歯科健診を受ける頻度は3ヶ月から半年に一度が推奨されています。

健診の内容と費用の目安をご紹介します。
(健康保険適用し3割負担の場合。2019年3月時点)

➀虫歯と歯周病のチェック:1,000円程度
➁歯石、歯垢の除去:1,500円程度
➂ブラッシング指導:240円程度
➃粘膜の状態チェック:0円
引用:https://empower-column04.com

以上4点に加え、初診料やレントゲンによる検査料を合わせると、一度の健診には約4,000円かかります。

5.まとめ

黒い歯石が歯に付着しているということは、歯周病が進行しているということです。歯周病は悪化すると歯を失うだけでなく、歯の土台となるあごの骨まで溶かしてしまう怖い病気です。

もし、口の中に黒い歯石を見つけてしまった場合は、手遅れになる前に歯科医師に相談することをおすすめします。

経歴

平成13年 国立 長崎大学歯学部 卒業・同大歯科補綴学第一講座 入局
平成16年 歯学博士号取得
平成17年 野田ファミリー歯科 入局
平成23年 あきる歯科医院 開院/院長就任

執筆者:歯の教科書 編集部

執筆者:歯の教科書 編集部

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